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高速道路の休憩施設に並んで駐車する複数の運送事業者のトラック

写真: Pexels

ビジネス研究 想定読者: ビジネス 読了 8

求貨求車マッチングとは

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荷物を運びたい側と、空いているトラックを結ぶ。それが求貨求車マッチングである。 営業用トラックの積載効率は41.3%、走行距離の3割強は荷物を積んでいない。 埋める余地は大きく見えるが、実際に埋まらないのには理由がある。数字と事例から確かめる。

このページの結論

求貨求車マッチングとは、荷物を運びたい側と空いているトラックを結びつける仕組みである。営業用トラックの積載効率は41.3%にとどまり、帰り荷の確保による実車率向上が国の判断基準にも例示されている。ただし荷物の量・時間・温度帯・車格が合わなければ成立せず、マッチングだけで埋まる余地は限られる。

重要な事実

  • 2024年4月から11月の営業用トラックの積載効率は41.3%だった
  • 営業用普通車の実車率は68%で、走行距離の3割強は空車である
  • 求貨求車システムによる復荷の確保が、国の判断基準に例示されている
  • 政府は一定の車両で積載効率50%、全体で44%への引き上げを目標に置いている
  • 国の手引きが紹介する共同配送の事例では、開始当初の赤字が避けられないと述べられている
  • 輸送余力を見える化するシステムの導入が、モーダルシフトの対応方策にも盛り込まれた

読むときの注意

  • 積載効率と実車率は算出の対象期間・車種区分が資料によって異なる
  • 実車率68%は2016〜2018年度の3か年平均であり、直近の値ではない
  • 事例は国の手引きが紹介したものであり、効果の定量的な検証を伴わないものが多い

この研究の根拠について

根拠の強さ

強い

情報の新しさ

最新

見解の一致度

概ね一致

出典

6 件(うち一次資料 6)

出典の構成

  • 官公庁 5
  • 公的統計 1

これらの指標は根拠がどれだけ揃っているかを示すもので、内容の真偽を判定するものではありません。 判定ルールは編集方針に公開しています。

このページで使う用語

実車率 じっしゃりつ
自動車が走行した距離のうち、貨物を輸送した距離の割合。実車キロ÷走行キロ×100で算出する。
積載効率 せきさいこうりつ
自動車の輸送能力に対する実際の輸送活動の割合。輸送トンキロ÷能力トンキロ×100で算出する。輸送効率ともいう。
復荷 ふくに
目的地から戻るときに積む荷物。帰り荷ともいう。これが確保できないと片道を空車で走ることになる。
中継輸送 ちゅうけいゆそう
長距離の輸送を複数の運転者で分担し、中間地点で車両や貨物を引き継ぐ方式。1人あたりの拘束時間を短くできる。
実働率 じつどうりつ
保有する車両のうち、実際に輸送のために走った割合。実働延日車÷実在延日車×100で算出する。

3分で分かる要約#

41.3%

営業用トラックの積載効率5

2024年4月〜11月の合計

68%

営業用普通車の実車率2

2016〜2018年度の3か年平均

44%

全体の車両での目標3

一定の車両では50%

58.7%

手引きが前提に置いた積載率2

幹線輸送の試算での設定値

求貨求車マッチングとは、荷物を運びたい側と、空いているトラックを持つ運送事業者を結びつける仕組みである。

数字だけ見れば余地は大きい。積載効率は41.3%、走行距離の3割強は荷物を積んでいない。では、なぜ埋まらないのか。 そこがこのテーマの中身である。

用語の定義#

「空いている」の意味が2通りあることを、先に押さえておく必要がある。

指標 何を測るか 計算式1
実車率 走った距離のうち、荷物を積んでいた割合 実車キロ ÷ 走行キロ × 100
積載効率 輸送能力に対する、実際に運んだ量の割合 輸送トンキロ ÷ 能力トンキロ × 100
実働率 持っている車両のうち、実際に走った割合 実働延日車 ÷ 実在延日車 × 100

荷物を積んでいても、満載でなければ積載効率は上がらない。 能力トンキロは「常に最大積載量の貨物を輸送した場合」の値であり1、半分しか積んでいなければ50%にしかならない。

つまり空車には2種類ある。

埋めるべき「空き」は2種類

  1. 1空車走行荷物をまったく積まずに走っている区間。復荷が確保できていない状態
  2. 2積載余裕荷物は積んでいるが、最大積載量に達していない状態

求貨求車マッチングが直接効くのは前者、共同配送や積合せが効くのは後者である。同じ「空き」でも打ち手が違う。

背景 — なぜ空で走るのか#

トラック輸送は、荷物を届けた先で必ず次の荷物が待っているわけではない。生産地から消費地への流れは一方向であることが多く、戻りの荷物がなければ空車で帰ることになる。これを片荷と呼ぶ。

国の手引きは、実車率の向上策として帰り荷の確保を挙げている6。関東と関西のあいだのように往復で貨物量に差がある区間では、片方向だけが混み、逆方向が空くという構造が生じる2

高速道路を走行する複数の大型トラック
幹線を走る大型車の一部は、荷物を積まずに戻っている。求貨求車マッチングが埋めようとしているのはこの区間である。

現在の水準は次のとおりである。

積載効率の現在地と目標
現在(2024年4〜11月)41.3%
全体の車両での目標44%
一定の車両での目標50%

現在値は2024年4月から11月の輸送トンキロを能力トンキロで割った合計値である5。目標は物流改正法の施行に合わせて示されたもので、一定の車両で積載効率50%を実現し、全体の車両では44%まで引き上げるという置き方になっている3

数字を見て「6割が空いている」と読むのは正確ではない。積載効率は重量ベースであり、軽くてかさばる荷物を満載しても100%にはならない。それでも、41.3%という水準に改善の余地があること自体は国の目標設定が前提としている。

仕組み — マッチングの4つの型#

「求貨求車」と一括りにされるが、実際には性質の違う仕組みが混在している。

何を結ぶか 向いている場面 難しさ
復荷マッチング 空車の帰り便と、その方向の荷物 幹線の片荷区間 時間と車格が合いにくい
積合せ・共同配送 複数荷主の少量の荷物 同一エリアへの多頻度配送 荷主間の合意形成が要る
中継輸送 長距離の運行と、複数の運転者 拘束時間を超える距離 中継地点と待ち合わせが要る
幹線便サービス 路線便に乗らない中ロット貨物 200〜2,000kg程度の貨物 拠点と物量の確保が要る

国の判断基準は、トラック事業者等が取り組むべき措置の例として**「求貨求車システム等を活用した復荷の確保により、実車率の向上を図ること」**を明記している3。同時に、複数荷主の貨物の積合せによる輸送網の集約、荷主や他の事業者との協議による配送の共同化、配車システムの導入による運行計画の最適化も並べられている3

制度の側は、マッチングを単独の解ではなく効率化策のひとつとして位置づけている。

モーダルシフトの対応方策でも、輸送余力等をより広い対象に見える化したシステムの導入を図り、荷主企業等に利用可能な輸送力を周知することで積載率の向上を推進するとされた4鉄道や船舶についても同じ発想が持ち込まれている。

実際の事例 — 何が成立し、何が難しかったか#

国の手引きは、実名の事業者による取組を収録している2。効果と課題の両方が率直に記録されており、マッチングの限界を読み取れる。

成立した例#

共同配送センターの設置(茨城乳配株式会社) — 埼玉から茨城北部まで往復10数時間かかる区間について、途中でまとめて降ろしてそこから配送する仕組みをつくった。当初は既存施設を借り、近隣の冷蔵・冷凍倉庫を時間借りして茨城の北と南に分けてストックしていたが、2か所で降ろす手間からコスト負担が大きくなることもあった。数量が確保できた段階で1か所の拠点に集約し、収益的にも改善した2。荷主は製造業や物流事業者など約20事業者に及ぶ。

中ロット貨物の幹線便(丸全昭和運輸株式会社) — 路線便で運べない200〜2,000kg程度の中ロット貨物を扱うサービスを、6拠点(東京・神奈川・愛知・大阪2か所・兵庫)で構築した。保管を持たないTC型で運営し、集荷翌日配達としている。原則としてパレット化された貨物を受ける運用にした2

中継輸送 — 関東と関西の中間地点に7か所のスイッチポイントを配置した事例では、年間41,500台(1日200台強)の中継輸送実績があり、取扱本数の増加に伴って様々な組み合わせによる配車の効率化が可能になったと報告されている2マッチングは量が集まるほど成立しやすくなる。

難しかった点#

手引きに記録された現場の声は、率直である。

共通しているのは「量が集まるまで成立しない」という構造である。 マッチングの仕組みがあっても、参加する荷主が揃わなければ成約しない。そして最初に参加する事業者は赤字を引き受けることになる。

温度帯の制約も具体的である。冷凍車で往路を運んでも、復路に冷凍貨物があるとは限らない。車両の能力が高いほど、それに見合う荷物が見つかりにくくなる。

専門家向けの補足#

指標の対象範囲がそろっていない。 本文で挙げた数値は、それぞれ算出の前提が異なる。

数値 対象 期間
積載効率 41.3%5 営業用トラック 2024年4月〜11月の合計
実車率 68%2 営業用普通車 2016〜2018年度の3か年平均
積載率 58.7%2 幹線輸送の試算での設定値 手引きの試算前提

時系列としてつなぐことはできない。 とくに実車率68%は3か年平均であり、2024年問題以降の値ではない。手引き自体も、幹線輸送の必要乗務員数を試算する際に実車率84.0%(3か年平均の68%と往復実車成立の100%の平均値)という設定値を使っており2、実測値と設定値が混在している点に注意がいる。

成約データが公開されていない。 求貨求車システムの成約件数、成約金額、マッチング率といった運用実績を示す公的な統計は確認できなかった。したがって「マッチングがどれだけ機能しているか」を外から評価する手段が現時点ではない。

不確実性#

効果の定量が示されていない — 求貨求車システムを使うことで積載効率が何ポイント改善するのかを示した試算は確認できなかった。判断基準は取り組むべき措置として例示しているが3、効果の見積もりは伴っていない。

空車の内訳が分からない — 走行距離の3割強が空車であることは実車率から分かるが、そのうちどれだけが荷物がないためのもので、どれだけが車庫や集荷地点への回送によるものかを示す内訳は見当たらなかった。回送は原理的にマッチングでは埋められない。

事例に効果の検証がない — 手引きが収録する事例の多くは、取組の内容と現場の認識を記述したものであり、実車率や積載効率が何ポイント改善したかを測定した記録は限られている2

手引きが2021年のものである — 本文で引用した事例と設定値は令和3年7月の手引きによる2。2024年4月の労働時間規制の適用後に状況がどう変わったかは反映されていない。

研究の穴

分かっていることと、分かっていないことを分けて示します。情報が足りない部分を隠しません。

このテーマで分かっていること 確度が高い内容
  • 積載効率・実車率の定義と計算式が公的統計の用語解説で確認できる
  • 求貨求車システムの活用が国の判断基準に例示されている
  • 共同配送・中継輸送・幹線便サービスの事例が国の手引きに収録されている
このテーマで分かっていないこと 未解決・未確認・研究不足
  • 求貨求車システムの成約件数や取扱金額を示す公的な統計は確認できなかった
  • マッチングによって積載効率が何ポイント改善するかを示した試算は見当たらない
  • 空車走行のうち、荷物がないためのものと回送のためのものの内訳は確認できなかった
次に調べるべきこと 追加調査の候補
  • 判断基準に関する調査・公表で、求貨求車システムの利用率が示されるかを追う
  • 輸送余力の見える化システムの具体化がどこまで進むかを確認する
  • 直近年度の実車率が自動車輸送統計で公表されているかを探す

よくある疑問

求貨求車マッチングとは何ですか
荷物を運びたい側と、空いているトラックを持つ運送事業者を結びつける仕組みです。国の判断基準では、帰り荷(復荷)を確保して実車率を高める方法として例示されています。
積載効率はどれくらいですか
2024年4月から11月の営業用トラックで41.3%でした。輸送トンキロを能力トンキロで割った値で、常に最大積載量で走った場合を100%とします。
実車率と積載効率は何が違うのですか
実車率は走行距離のうち荷物を積んで走った割合(実車キロ÷走行キロ)、積載効率は輸送能力に対する実際の輸送量の割合(輸送トンキロ÷能力トンキロ)です。荷物を積んでいても満載でなければ積載効率は上がりません。
マッチングすれば空車はなくなりますか
なくなりません。荷物の量・時間・温度帯・必要な車格が合わなければ成立しません。冷凍車の帰り荷が冷凍貨物にならないといった制約も現場から報告されています。
政府の目標はどれくらいですか
一定の車両で積載効率50%、全体の車両で44%への引き上げが目標として置かれています。

出典

本文中の番号は、この一覧の番号に対応します。参照日時点の内容にもとづきます。

  1. 自動車輸送統計調査 用語の解説

    公的統計 国土交通省 発行日不明 2026年8月8日参照

    実車率・実働率・積載効率・輸送トンキロ・能力トンキロの定義と計算式

  2. 物流生産性向上に資する幹線輸送の効率化方策の手引き

    官公庁 国土交通省総合政策局物流政策課 2021年7月1日発行 2026年8月8日参照

    実車率・積載率の設定値と、共同配送・中継輸送・幹線便の事例

  3. 物流改正法の施行について

    官公庁 国土交通省物流・自動車局 2025年3月10日発行 2026年8月8日参照

    トラック事業者等の判断基準に求貨求車システムの活用が例示されていること、積載効率の目標

  4. 新たなモーダルシフトに向けた対応方策

    官公庁 国土交通省 官民物流標準化懇談会 モーダルシフト推進・標準化分科会 2024年11月22日発行 2026年8月8日参照

    輸送余力等を見える化したシステムの導入という方針

  5. 物流を取り巻く動向と物流施策の現状・課題(2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会 資料2)

    官公庁 国土交通省 発行日不明 2026年8月8日参照

    2024年4月から11月の積載効率41.3%

  6. トラック運送における生産性向上方策に関する手引き

    官公庁 国土交通省自動車局貨物課 発行日不明 2026年8月8日参照

    帰り荷確保と実車率向上の位置づけ

この研究を引用する

タイトル
求貨求車マッチングとは
サイト名
研究図鑑
公開日
2026年8月8日
最終更新日
2026年8月8日
URL
https://research.lb-product.com/research/logistics/freight-matching

引用形式の例

研究図鑑 編集部「求貨求車マッチングとは」研究図鑑、2026年8月8日公開/2026年8月8日更新、https://research.lb-product.com/research/logistics/freight-matching

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