宅配便の再配達問題とは
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一度で受け取れなかった荷物を、もう一度運ぶ。それだけのことが、年間6万人分の労働力に相当する。 再配達率は下がってきたが、政府が掲げた6%にはまだ届いていない。 さらに、公表されている数値そのものが資料によってずれている箇所がある。順に見ていく。
このページの結論
再配達とは、不在などで受け取れなかった荷物を再度配達することである。国土交通省の調査では令和7年10月の再配達率は約8.3%だった。労働力に換算すると年間約6万人のドライバーに相当するとされる。政府は6%を目標に掲げているが、まだ届いていない。なお調査対象が大手3社から大手6社へ広がっており、資料によって数値が異なる。
重要な事実
- 令和7年10月の宅配便再配達率は約8.3%だった
- 再配達を労働力に換算すると年間約6万人のドライバーに相当するとされる
- 再配達のトラックから出るCO2は年間およそ25.4万トンと推計されている
- 政策パッケージは再配達率12%を6%へ半減させることを前提に置いていた
- 令和6年度の宅配便取扱個数は50億3147万個だった
- 調査は年2回のサンプル調査で、令和7年からは大手6社ベースの数値が公表されている
読むときの注意
- 再配達率はサンプル調査であり、全数調査ではない
- 令和7年から調査対象が大手3社から大手6社へ広がっており、資料間で数値が異なる
- 取扱個数の統計には再配達の回数は表れない
この研究の根拠について
根拠の強さ
中程度
情報の新しさ
最新
見解の一致度
概ね一致
出典
7 件(うち一次資料 7)
目次 13 章
このページで使う用語
- 再配達率 さいはいたつりつ
- 宅配便の個数のうち再配達となった割合。国土交通省が年2回(4月・10月)サンプル調査として公表している。
- 置き配 おきはい
- 対面での受け渡しをせず、玄関前や宅配ボックスなど指定した場所に荷物を置いて配達を完了する方法。
- ラストマイル らすとまいる
- 物流の最終区間、配送拠点から受取人の手元までを指す言葉。人手がかかり効率化が難しい区間とされる。
3分で分かる要約#
不在などで受け取れなかった荷物を、もう一度配達する。それが再配達である。国土交通省は年2回、4月と10月に再配達率のサンプル調査を実施している2。
数字は下がってきた。ただし削減の速度は鈍っている。 そして公表値そのものに、資料間で説明のつかない食い違いがある。順に見ていく。
用語の定義#
再配達率は、宅配便の個数のうち再配達となった割合である。ここでいう個数は取り扱った荷物の数であり、同じ荷物を3回配達しても取扱個数は1個として数えられる5。
つまり取扱個数の統計を見ても再配達の負担は見えない。だから別に調査されている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | 国土交通省 |
| 方法 | サンプル調査(全数調査ではない)2 |
| 頻度 | 年2回(4月・10月)2 |
| 対象 | 令和6年までは大手宅配事業者3社の合計2、令和7年からは大手6社ベースの合計4 |
| 地域区分 | 都市部・都市部近郊・地方の3区分2 |
背景#
宅配便の取扱個数は増え続けてきた。
紙の郵送物が減り、荷物が増える。 その構図が数字に出ている5。
この状況で、届けたのに受け取ってもらえず、もう一度走る配達が約1割あった。運転者の労働時間に上限が入った以上、この1割は無視できない大きさになる。宅配便の取扱個数を含む主要な数値は日本の物流を数字で見るにまとめている。

- 令和5年6月政策パッケージ。再配達率12%→6%を施策効果の前提に置く
- 令和6年4月再配達率 約10.4%(大手3社ベース)
- 令和6年10月再配達率 約10.2%(大手3社ベース。前年同月 約11.1%)
- 令和7年4月再配達率 約8.4%(大手6社ベース)。大手3社ベースでは約9.5%7
- 令和7年10月再配達率 約8.3%(大手6社ベース)
令和7年の調査から、公表される数値の基準が大手3社から大手6社へ変わっている47。 年表の各値はそれぞれ別の報道発表で公表されたものであり、基準の違う数値を単一の折れ線として つなぐことはできない。詳しくは「不確実性」で述べる。
仕組みと現状#
再配達はどう発生するか#
1つの荷物が2回運ばれるまで
- 1配達受取日時の指定がなければ、在宅を前提に配達する
- 2不在受け取れず、荷物を持ち帰る
- 3通知不在票やアプリで、受取人に再配達を依頼してもらう
- 4再配達もう一度、同じ住所へ走る
同じ荷物に対して配送のコストが2回以上かかる。しかも受取人の在宅時間に合わせるため、夕方から夜間に集中しやすい。
国土交通省の試算では、この負担は年間約6万人のドライバーの労働力に相当する1。運転者不足が慢性化しているなかで、すでにいる人手の一部が再配達に吸われているという構図になる。
環境面でも負担がある。再配達のトラックから排出されるCO2は年間およそ25.4万トンと推計されている(令和2年度国交省試算)1。
再配達率はどう動いたか#
数値の出典は、令和6年4月・10月が令和6年12月の報道発表2、令和7年4月の2つの値が検討会の取りまとめ7と同年6月の報道発表3、令和7年10月が同年12月の報道発表4、目標値が政策パッケージ6である。
令和7年4月だけ2本並んでいるのは誤りではない。 同じ月について、大手3社ベースで9.5%、大手6社ベースで8.4%という2つの数値が公表されている7。このグラフは、資料をまたいだ連続した時系列ではない。
減らすための方法#

国土交通省が挙げている取組は次のとおりである1。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 時間帯指定 | 受け取れる時間帯をあらかじめ指定する |
| 通知の活用 | 事業者が提供するメール・アプリ等で配達予定を確認する |
| 多様な受取方法 | コンビニ受取、駅の宅配ロッカー、置き配などを使う |
いずれも受け取る側の行動を変える施策である。配達する側の効率化ではなく、消費者の側に働きかける設計になっている点が、この問題の特徴である。政策パッケージが「荷主・消費者の行動変容」を柱のひとつに置いているのも同じ理由による6。
目標との距離#
政策パッケージは、2024年度に向けた施策効果の内訳として、再配達削減で3.0ポイントの輸送力改善を見込んでいた。その前提が再配達率12%から6%への半減である6。
実績は令和7年4月で約8.4%3、同年10月で約8.3%である4。12%からは下がったが、6%までにはまだ2ポイント以上ある。
下げ幅そのものを見ると、鈍化がはっきりする。
置き配や宅配ロッカーを使う人はすでに使っている。残っているのは、対面でなければ受け取れない事情がある層、あるいは行動を変える動機が弱い層と考えられる。ここから先が難しい。
不確実性#
調査対象が途中で広がっている — 令和6年12月6日の報道発表は、令和6年10月の再配達率を約10.2%としている2。一方、令和7年12月26日の報道発表は令和7年10月の約8.3%について「昨年同月と比べて約0.7ポイント減」としており4、逆算すると令和6年10月は約9.0%になる。
この差の原因は、調査対象の変更である。 令和7年4月の報道発表は、都市部・都市部近郊・地方および総計を「宅配に関わる大手事業者6社ベースの合計数値」とし、大手宅配事業者3社の合計数値を参考値として併記している4。国の検討会の取りまとめも、令和7年4月時点の数値を大手3社ベースで9.5%、大手6社ベースで8.4%と明示している7。
つまり約10.2%は3社ベース、約9.0%は6社ベースの数値であり、両者は矛盾していない。ただし公表の見出しは基準の違いに触れず数値だけを示すため、そのまま並べると1ポイント以上ずれる。この記事では、各数値にどちらのベースかを付記し、単一の連続した時系列としては扱わない方針をとった。
サンプル調査である — 全数調査ではない2。対象は大手事業者に限られており、中小の事業者や、いわゆる軽貨物の配送は含まれていない可能性がある。
寄与度が分からない — 再配達率が下がった理由について、置き配の普及、宅配ロッカーの設置、時間帯指定の利用、あるいは配送事業者側の運用変更のどれがどれだけ効いたかを示す内訳は確認できなかった。
1件あたりの負担が分からない — 労働力換算で年間約6万人という数値は示されているが1、再配達1件あたりの平均走行距離や所要時間といった基礎数値は確認できなかった。したがって、再配達率が1ポイント下がると何がどれだけ改善するのかを、自分で計算することはできない。
やさしい説明#
小学生向け — 荷物を届けに行ったのに、家に誰もいなくてもう一度行く。それが再配達。100個の荷物のうち8個くらいがそうなっている。運ぶ人の手間が2倍になるので、みんなで減らそうという話になっている。
中高生向け — 宅配便は年間50億個を超える。そのうち約8%が再配達になっている。国はこれを労働力に換算すると年間約6万人分のドライバーに相当すると試算している。運転者の労働時間に上限が入ったため、この分の負担を減らすことが輸送力の確保につながると考えられている。
一般向け — 再配達問題の本質は、配送の効率ではなく受け取りの設計にある。国が挙げる対策はいずれも受取人の行動に働きかけるもので、置き配やロッカーの利用がその中心である。ただし再配達率の低下幅は年々小さくなっており、目標の6%までは距離がある。加えて、公表されている数値そのものに資料間の食い違いがあるため、推移を語るときは出典を明示する必要がある。
研究の穴
分かっていることと、分かっていないことを分けて示します。情報が足りない部分を隠しません。
- 再配達率は年2回のサンプル調査として継続的に公表されている
- 労働力換算とCO2排出量の推計値が公表されている
- 政府が掲げた目標値(6%)と実績の差は資料から確認できる
- 資料間で数値が食い違うのは、調査対象が大手3社から大手6社へ広がったためである
- 大手3社ベースの数値が令和7年10月以降も継続して公表されるかは確認できなかった
- 置き配や宅配ロッカーの利用が、再配達率の低下にどれだけ寄与したかの内訳は見当たらない
- 再配達1件あたりの平均的な走行距離や所要時間を示すデータは確認できなかった
- 令和8年4月期の調査結果で、8%台からさらに下がるかを確認する
- 労働力換算6万人の算出根拠となる推計方法を確認する
- 6社ベースへの変更時期と、追加された3社の内訳が公表されているかを探す
よくある疑問
再配達率はどれくらいですか
再配達はどれくらいの負担になっているのですか
目標はどれくらいですか
どうすれば減らせますか
関連研究
出典
本文中の番号は、この一覧の番号に対応します。参照日時点の内容にもとづきます。
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労働力換算とCO2排出量の推計、削減に向けた取組の内容
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調査の方法と対象範囲、令和6年10月の数値
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令和7年4月の数値
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最新の数値と前年同月比
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宅配便取扱個数と便種別の内訳
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「物流革新に向けた政策パッケージ」の取組状況について(資料1)
再配達率12%を6%へという目標と、施策効果の見込み
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大手3社ベースと大手6社ベースの数値を併記しており、資料間の食い違いの理由が確認できる
この研究を引用する
- タイトル
- 宅配便の再配達問題とは
- サイト名
- 研究図鑑
- 公開日
- 2026年8月8日
- 最終更新日
- 2026年8月8日
- URL
- https://research.lb-product.com/research/logistics/redelivery
引用形式の例
研究図鑑 編集部「宅配便の再配達問題とは」研究図鑑、2026年8月8日公開/2026年8月8日更新、https://research.lb-product.com/research/logistics/redelivery
更新履歴
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初回公開
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更新
公表値の食い違いの原因が調査対象の変更(大手3社→大手6社)であることを確認し、該当箇所を書き換えた。グラフと年表に調査対象を明記した
